お口の総合診断でわかること

忍び寄る生活習慣病を予防するために、お口の健康診断を受けられることは大切なことです。
また、御自分のお口の健康状態を知るまたとないチャンスです。これから経験するお口の健康診断は、あなたのお口の健康状態を正しく理解し健康管理に活かすことができます。定期的に歯科的健康をチェックして、快適でよく噛める豊かな毎日を過ごされることを願っています。
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STEP.1 詳しく調べる前の予備的な検査

■問診■
お口の健康診断のお話しをする前に自覚症状や歯科的既往歴などをお聞きします。あなたのお口の中を視る・触れる診察(視診・触診・打診)、全身的既往歴などの様子を直接お伺いします。それらは、これからの正しい検査をするための参考にします。

■質問表■
お帰りになる時に、質問表をお渡しいたします。これは、あなたの歯科的健康を完全に把握するための資料となります。次回来院の際にお持ち下さい。あなたの秘密は厳守いたします。

X-RAY■レントゲンによる検査■
お口の中にフィルムを入れてレントゲン撮影をします。ほぼ歯と同じ大きさに写し、主に虫歯や歯周組織の診断を目的とします。全ての歯がそろっている場合は18枚撮影いたします。

■咬翼法による検査■
18枚のうち4枚は上下の歯で軽く咬んで撮影します。歯と歯の間の虫歯の有無・虫歯の進行程度・歯を支えている骨の状態・歯石の有無・歯髄の状態などが正確に分ります。

X-RAY■パノラマレントゲンによる検査■
お口の周辺を撮影するのに適した歯科特有の撮影方法です。画像の鮮明度は劣りますが、顎の骨の全体の状態を 視るのに適しています。また、インプラント治療の予備的な検査に適しています。しかし、パノラマレントゲンだけでは上顎洞の正確な形態や 下顎神経の位置、顎の骨の三次元的な形態を検査することは出来ませんので、実際にインプラント手術を行う前にはCT撮影が必要です。
模型■診断用模型による検査■
二組のお口の記録を採ります。一組は何も手を付けず忠実に治療前の状態を保存しておきます(診断用模型)。これは治療を開始するにあたり、現在の問題を分析したり、治療の途中で参考にしたり、治療完了時に治療前の状態を知るのに使います。
もう一組は、理想的なお口を想定して診断用模型を改造します。これを“ブループリント”といいます。
事前に診断用模型で、理想的な治療をリハーサルできるので、実際のお口の中が健康な状態に回復して行く様子がつかめます。そうすることにより、より明確な治療の目標を あなたにお伝えすることができます。

図■顎関節の診断のための検査■
上顎と下顎の咬み合わせの記録を採ります。それは、顎関節の状態や、咬み合わせの状態を検査するための記録です。
咬み合せに不調和があれば、「口をあけると顎がいたい」「口をあける時に音がする」といった症状が出てくる場合があります。

図■歯周組織の検査■
【歯周ポケットの測定】歯と歯肉の隙間を歯周ポケットといいます。ここは清掃がしにくいので細菌が増殖しやすい場所です。歯周組織の検査はレントゲンでもしますが、プローブという器具を使って歯周ポケット の深さを測定します。(1)
歯周ポケットにプローブを挿入しそれぞれ歯の歯周 ポケットの深さを測定し記録してゆきます。歯周ポケットの深さは健康な人で1~2mmです。
4mm以上の深さになると、あなた自身で ポケットの底の細菌を取り除くことは困難になり、専門家の助けが必要になります。4mm以上のポケットが有るか無いかが、歯周組織の健康の境界線です。検査時にあなた 自身にも判断できると思います。(2)
歯周ポケットの測定値はあなたのカルテに記録し、保管いたします。それらのデータは治療開始から完了まで、そして長期的な健康プログラムを実施する場合の貴重な指標になります。

図■歯周ポケットからの滲出液の検査■
歯肉から出血の有無は歯周病菌が活動して歯周病が進行しているかどうかを知る最も重要な判定基準です。もし、出血や排膿があればその部分のポケットの底に歯周組織を破壊する細菌が増殖して、確実に大切な歯を失う方向にあるといえます。すぐに出血や排膿を止める必要があります。全身的に問題が無い場合、ほぼ確実に出血や排膿を止めることができます。

■歯の動揺の検査■
器具で一本一本の歯を揺さぶっていきます。歯の動揺の程度で、その歯の予後の予備的な判定をします。動揺の度合いは3段階で判定いたします。動揺3の場合はその歯の予後はあまり良いとはいえません。

■打診反応による検査■
器具で一本一本の歯を軽くたたいてゆきます。特定の歯に大きな負担がかかっていたり、歯の神経(歯髄)の中や根の先に病気があったり、根と骨の間の歯を支えている組織(歯根膜)に炎症がある所は器具で叩けば特にに痛みを感じます。

〔歯周病のCHECKPOINT〕
◆歯肉から出血する ◆歯肉が赤く腫れ触れると痛い ◆口臭が気になる ◆歯肉がグラグラする ◆歯肉から膿が出る


図■血液検査■
私たち医療管理者はあなたの身を守ることは当然ですが、私たち自身の健康管理もしなければなりません。
あなたにとっても、私たちにとっても安心な医療環境でなければなりません。歯科的治療は観血処置が殆どです。そのような観血処置に先立って 感染症に関する検査を実施しています。 当院では、1986年以来お口の健康診断のときに感染症に対する血液検査を全ての方に実施して参りました。
当院での血液検査により身体的問題が早期に発見されたケースもあります。

ガラス板法定性・TPHA定性:梅毒の感染の有無を調べます
HBs抗原(定性)・HBs抗体(定性):B型肝炎ウイルスの有無を調べます
HCV抗体(Ⅱ):C型肝炎ウイルスの有無を調べます
HIV抗体Ⅰ・Ⅱ型:エイズウイルスの有無を調べます

その他基本的な肝機能検査をして、傷の治癒の程度・感染を受けやすいかどうか、お薬に対して使用の可能性についてあらかじめ知ることが出来ます。