お口の中のメンテナンス

ご自身で出来る口腔内メンテナンスについて

お口の中には細菌が常に生息しています。その細菌が歯周疾患や虫歯を引き起こします。
有害な細菌やその産物を除去し減少させることが、積極的なメンテナンスすることにおいて重要なことです。

歯ブラシ
歯ブラシは細菌やその産物を除去するための古典的な道具です。
歯ブラシは今でも重要な道具ではありますが、その限界も明らかになってきました。歯ブラシでは歯と歯の間や、3mm以上の深さの歯肉溝(ポケット)のところは清掃できません。歯周疾患や虫歯は細菌を取リ残したところから始まるため、完全に清掃するには補助的な器具が必要です。

歯ブラシ


歯ブラシの選択
毛の先は歯や歯肉を傷つけないように丸く処理されているのがいいとされています。適当な弾力のある軟毛(0,007インチ)で、毛の長さは10.5mmの歯ブラシが最も効率よく清掃できることが分かりました。
歯ブラシの持ち方は鉛筆を持つようにして使用してください。1ケ月毎か毛先が広がリ始めた時に交換しましょう。徹底したブラッシングにより、少なくとも24時間の間ミュータンスが(Streptcoccus mutans・ストレブトコッカス・ミュータンス)が活発に虫歯を作ることは抑制できます。
歯周病に抵抗力のある患者さんは、歯肉炎の予防のためには少なくとも48時間毎のブラッシングが必要です。

歯ブラシブラッシング方法
米国のバス先生が提唱した方法が一般的に現在最も効果的とされています。それはブラシの頭部を歯並びに沿わせて、歯と歯肉の間に毛先を当てます。そして、ブラシを前後に振動させます。しかし、臨床的には人それぞれに状態が異なリますので、歯科衛生士と共同で最も効果的に細菌の集合体(プラック)を破壊出来る技術を身に付けて頂きたいのです。

洗口剤
F素化合物による洗口(ミラノール)全ての人にお薦めしています。当然虫歯予防には最も効果があります。特に歯の表面が平らな部位に有効です。噛み合わせの皴のようなとこは残念ながら効果はありません。その皴のようなとこにはフィッシャーシーラントと言うものをすると虫歯予防効果は確実です。
歯周病の場合もF素化合物による洗口(ミラノール)は重要です。口腔内細菌の発生をコントロールし露出した歯根を虫歯から確実に守ります。部分入れ歯の方にもお進めしています。
歯周病予防のためにF素化合物が入っていない洗口剤(ハッカ、アルコール等の入っている市販の洗口剤)は全く効果ありません。洗口剤だけでは歯周ポケットの底を洗浄することは出来ません。

電動歯ブラシ
色々なメーカーが沢山の種類の電動歯ブラシを出しています。普通の歯ブラシに比べて特に勝れているといった研究報告は1つも見当たりません。しかし、障害を持つ人々にはこちらの方が効果的であったと言う研究報告がありました。

デンタル・フロスなどの補助器具
デンタル・フロス(糸ようじ)は一般的にはほとんど使用されていません。私たちはまずフロスをしてからつぎにブラッシングをされることを提唱いたします。
フロスにはロウ(蝋)付きと、そうでないものもあリます。どちらも、細菌の集合体(プラック)の除去と、歯肉炎の抑制効果はあまり変わりません。フロスは歯肉溝内(ポケット)約3.5mmの深さまでを清掃することができます。フロスは毎日していただくことはなかなか難しく、私達のオフィスでもコントロール・プログラムを受けられた約10%の患者さんが実行されているだけです。歯と歯が当たっている間からの虫歯は、デンタル・フロスのみが有効です。

歯ブラシ

歯間ブラシ
歯間ブラシは、歯と歯の間の歯肉が痩せて、隙間の開いている人にはとても効果的です。特に歯周病で歯根が露出している場合で根の部分が凹形になっている場合は、最も歯間ブラシが効果的です。
しかし、歯と歯が当たっている真下からの虫歯は、防げません。また、インプラントの患者さんには歯間ブラシの金属線がプラスチックでカバーしているインプラント用の歯間ブラシがあります。私たちはそちらをお勧めします。歯間ブラシにF素化合物洗口剤(レノビーコ・ミラノール等)を浸して使用するとより効果的です。

爪楊枝
一般的に爪楊枝よりもフロスの方が優れています。この方法は歯と歯の間の歯肉を傷付ける可能性があるため、日常的な使用はあまリお勧めできません。
フロスよりも爪楊枝を一般的に好んで使用される場合が多いですが、歯と歯の間によく物がつまると言う患者さんで歯肉が痩せている場合は、デンタル・フロスか歯間ブラシの使用をお勧めいたします。

水洗圧洗浄器
例えば、ウォーターピックのようなものですが、一時、私たちのオフィスでもメーカーの宣伝にのせられて、お勧めをしていました。しかし、細菌の集合体を除去し、歯周組織の健康の維持の為に際立った効果があったと言った報告は見当リませんでした。
しかも、歯周炎を引き起こしている患者さんに使用すると、高圧のため細菌が血管の中に人リ菌血症を引き起こしたり、細菌性心内膜炎をひきおこしたりするのではないかと言われています。歯周ポケット内には危険で使用できません。効果は認められず害のある可能性があり、日常的な使用はお勧めできません。

ラバーチップ
ラバーチップの使用は歯肉の盛り上がりを制限するのに少し効き目があります。
しかし、デンタル・フロスや歯間ブラシのように、より効き目があリ、清掃効果の高いものを使用したほうがいいでしよう。