歯内治療

Q&A

治療中虫歯がひどく、神経をぬくといわれました。どのような治療をするのですか?
歯の神経をぬく処置(歯内療法)は歯髄(歯の中に入っている神経と血管の組織)が炎症を起こしたときや、細菌に感染したときに行います。
★歯髄の炎症や細菌感染の原因
(1)大きな虫歯(歯の神経近くまで虫歯が進行している)
(2)小さな虫歯だが何回か治療が繰り返された歯(結果的に歯の神経近くまで虫歯が進行している)
(3)歯が欠けて神経が露出してしまった歯(程度によっては歯の保存が難しい場合があります)
(4)打撲などで歯の神経を損傷してしまった歯
(歯の見た目に異常がない場合でも、歯の神経が死んでしまっていることがあります。その場合、時間の経過とともに歯の変色が起こります。)
歯髄の炎症や細菌感染を起こしている歯を放っておくと、痛みや腫れを生じさせることがあります。

★歯髄の炎症や細菌感染を疑う主な症状
(1)痛みがある(程度は様々です。いわゆる歯痛です。軽いものから、ズキズキとした拍動性の痛みがでることもあります。)
(2)冷たいものがしみる(症状としては初期のものですが、原因を調べる必要があります。)
(3)熱いもがしみる(症状が少し進行しています。早めに治療が必要な場合が多いです。)
(4)はぐきが腫れている(炎症がはぐきにまで広がっています。ここまで行くと痛みは想像を絶するときがあります。)
(5)はぐきが腫れて膿がでている(炎症の末期症状です。細菌が増殖し、その死骸がはぐきから外に流れ出ている状態です。)
といった症状がでることがあります。しかし、ときには炎症が慢性化してしまい全く症状がない場合もあります。この状態で放っておくと歯が変色することがあります。

★歯内療法の治療内容について
▼歯内療法は数回の治療で以下のようなステップが含まれます。
(1)初めにレントゲンを撮影します。
(2)麻酔をして、しびれてくるのを待ちます。
(3)歯に穴を開け、細い針のような道具を使って神経を切除し、細菌感染した歯根の中をきれいに清掃し、消毒します。
(4)きれいに消毒された歯根を、再び細菌が進入しないようにガッタパーチャと呼ばれるゴムのような材料で中を封鎖します。
(5)これで歯内療法は終りますが、その後は歯の形態や咀嚼機能を回復させるために、クラウンなどの修復物を被せます。ここで被せ物など適切な処置をしないままに放っておくと、再発することがあるので注意してください。
通常、治療には局所麻酔をして行いますので、ほとんどの患者さんが「処置中の痛みは感じなかった。」と言われます。治療後の数日間は、少し違和感が出ることがあります。痛みがあった歯(大きな虫歯や細菌の感染が原因)の治療を行った後によく観られます。そういった可能性が考えられる場合は、痛み止めのお薬をお渡ししますので、心配ありません。

正面神経を抜いた歯なのにまた痛んできました。神経がないのになぜ痛いのでしょうか?もう治らないのでしょうか?
正しいお手入れをしていれば、歯内治療(根管治療)を受けた歯の多くは他の天然の歯と同じように長持ちします。しかし、治りが遅かったり、痛みが続いたりする場合もあります。また、治療が成功しても後から痛みが出てきたり、ほかの問題が生じたりすることがあります。
歯科医師が、最初に治療を行った際、以下のような様々な理由で、治癒が期待できなかった場合、症状が再発することがあります。
根管が狭窄(非常に細い)し、彎曲(複雑に曲がっている)していたため、最初の治療で完全には治癒していなかった。
歯内治療終了後、適切な時期にクラウン(金冠)や他の修復がされずに放っておかれた。
修復物(金や銀等のつめもの)を接着しているセメントが寿命で溶け出し、新しい虫歯ができたことによって、根充材(神経を抜いた後につめられるもの)や歯の内部が細菌にさらされて新しい感染を引き起こした。

多くの場合、治療された歯は、わずか数年だけといったものでなく何年も機能し、それは一生涯十分に機能させることも可能です。その歯を歯科医師が再治療することが、あなたにとって歯を救うための最良の方法であると信じてよいでしょう。
技術の進歩は、常に根管治療の方法を進歩させ、歯科医師は、最初に行った治療以上の新しい治療方法を施すでしょう。もし最初の治療で、特異な根管をもった歯がきれいにされなかったり、ふさがれていなかったりしても、2回目の治療で解決することができるかもしれません。もちろんどんな歯科的、医科的治療も、完全を保証することはできません。しかし歯科医師は、治療前よりも成功するチャンスがあることを説明するでしょう。

すべての歯に歯内治療が可能(有効)ですか?
ほとんどの歯で可能(有効)です。しかしながら、時として根管がふさがっていたり、破折していたり、根っこの周りの骨がない場合は非常に難しくなります。また、数年前に治療したのに、その予後が思わしくない歯でも、歯根端切除と呼ばれる外科的処置が有効な場合があります。

歯根端切除って?
感染の原因となっている組織を取り除くために、原因歯の根っこ付近のはぐきに小さな切開を入れます。まず周囲の炎症や感染した組織を取り除き、その時、原因歯の根っこの先もわずかに取り除きます。そして、根っこの先を詰め物でふさぎます。1~3カ月後にはそこに骨ができてきます。
ほとんどの歯で可能ですが、時として、神経や血管に近く手術が安全に行えない部位もあり、可能な部位としては前歯が一般的です。
もちろんどんな歯科的、医科的治療も、完全を保証することはできませんが、我々のオフィスでは約80%の成功率で歯を抜かずに残せています。ですから、この治療には歯を抜かずに残せるチャンスがあると言えるでしょう。
ただし、歯周病の併発によって、歯の周囲組織に広範囲に炎症が広がっている場合はこの方法でも歯を残すことが難しい場合もあります。